水産王国愛媛からの挑戦
スマをモデルに、水産養殖業を成長産業へ
愛媛大学と愛媛県が、水産養殖王国愛媛発、「スマ」をモデルとした新養殖産業創出と養殖産業の構造改革を実施するプログラム。
プロジェクトの概要
今回のプロジェクト、文部科学省の「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」は、社会的インパクトが大きく、地域の成長や国富の増大に資する事業化プロジェクトを推進するものです。コア技術を有する地域を1つのベンチャー企業のように見立てて、それを成長させるためのマネジメントチームをつくり、技術開発をはじめ、商品化や技術移転などを推進していくイメージです。愛媛は水産養殖王国であり、コア技術として養殖技術や選抜育種技術を保有しております。これらのコア技術をもとに、スマをモデルとして、①スーパーエリートの選抜育種、②生殖細胞バンク、③代理親生産からなる「次世代育種システム」の開発を行いました。このシステムは、代理親によってスーパーエリートを復元させるという、従来の魚類養殖を変えるインパクトの大きいものです。
宇和海水産イノベーション・エコシステムの歴史と展望
宇和海の水産業に関する愛媛大学の産官学連携は、1980年代半ばの遊子漁協との連携による環境調査に始まり、その後愛媛県とも連携しながら発展してきました。この動きは愛南町との連携による南水研の設立にも結びつき、現在では、媛スマの生産や販売の促進を目指す「媛スマ普及促進協議会」、宇和海の海況情報の発信により水産業を支援する「宇和海水温情報運営管理協議会」、さらに水産IoT技術の開発を目指す分野での連携など、強固な産官学連携体制が構築されています。これらは、現場のニーズに応じ、あたかもエコシステムのごとく自律的に発展してきました。南水研では、研究開発やこれらのシステムを支える人材の育成により、今後もこれらのシステムの持続的発展に貢献していきたいと考えています。