1月10日(土)「愛媛大学地域創生イノベーター育成プログラム(南予)」成果発表会



7月26日(土)に始まった令和7年度「地域創生イノベーター育成プログラム(南予)」。今年度は自治体職員、地域おこし協力隊、企業、地元でボランティア活動を進めている方など、そして大洲高校、三崎高校、吉田高校、宇和島東高校の高校生4名を含む様々な立場の受講生27名が半年間、計60時間のプログラム受講を進めました。全体が4グループに分かれ、それぞれで課題を設定し、プロジェクト研究を深めていき、1月10日(土)には、その締めくくりとして、プロジェクト成果報告会が開催されました。報告会には杉森正敏地域協働携推進機構長、プロジェクト指導教員である松村暢彦先生、笠松浩樹先生、前田眞先生、大本敬久先生が参加し、4グループからの活動成果発表、意見交換を行いました。
最初に「Bチーム:南予つながり隊!!」による発表。「人が入れ替わっても続く地域づくり」をテーマに、商店街の活性化活動や高校での地域協働の取組みが何を生みだしてきて、その成果、課題を明確化するとともに、持続性のポイントがどこにあるのかという視点や具体例を紹介されました。それを基に「人が入れ替わる構造を前提とした設計」の必要性を提案し、その設計の鍵が、実践の「結果」や「行動」の評価だけではなく、地域や様々な立場の方々の相互の「関係の質」を意図的に高めていくことが成功・成果に向かい、関係性や思考の深さ、特に「対話」の質・量、そのプロセスに注目していく重要性を指摘されました。その「設計」こそが、地域創生イノベーター等が関わっていくミッションでもあり、求められる役割ではないかと発表されました。
続いてのグループ「ネバーギブアップ」。課題が多く顕著な南予で「あきらめない」想いから命名したチーム名です。発表テーマは「南予の未来を拓く「半農半X」プロジェクト~多様な人材が還流する、持続可能な南予モデルの構築~」。特に南予全体に共通する産業でもある柑橘栽培に注目し、生産者減少や高齢化、担い手の確保・育成、高温・温暖化への対応、鳥獣害対策など課題は多くありつつも、柑橘栽培が南予の重要な「資産」でもあり、その強みを活かすにはどうすればよいのか、考察を進めました。そして具体的提案として挙げられたのが「半農半X」モデル(半日は農業、半日は自分の仕事といった「新しい働き方」の提案、実践)。これによって単なる季節労働力(アルバイター)や有償ボランティアの拡大にとどまらない人材の還流や、基幹産業のさらなる発展、さらには地域課題の解決に導くための提案でした。全国的にも「半農半X」の先進事例があり、それらを紹介するとともに、その実現に向けて「柑橘産業支援組織」といった新規事業体、もしくは中間支援の組織、システムの構築が重要である点を強調されました。移住、就農支援に加えて、農業を組み合わせたワーケーションである短期「農ケーション」やアプリを活用した1日単位農業のマッチングなどのアイデアも披露され、行政やJA、生産者だけではない農業活性化の仕組みづくりの重要性についても発表されました。
次は「めざせ!翻訳者グループ」による「にぎやかな過疎」をテーマとした発表。南予地域の現状でもあり課題でもある「避けられない人口減少」の中で、いかに南予での暮らしをポジティブに継続していくことができるのか。そのポイントとして、外からの人材、視点等と地元住民とをつなぐ「翻訳者」の存在の必要性を提示されました。「翻訳者」は地域の価値を発見・発信するキーパーソンであり、地域住民が課題解決や地域の持続性に向けて主体的に活動、実践する機会を創出、サポートする人材でもあり、また、地域課題を全体的に俯瞰し、周囲や様々な立場と方々と協働しながら動くことのできる人と定義されていました。具体事例として、鬼北町のシンボルイベントでもある「でちこんか」や大洲MACHIBITOフェス、まちづくりを取り上げ、現地フィールドワークと関係者へのヒアリングで得た情報を基に、地域創生イノベーターをはじめとする活動者・団体が「翻訳者」として「にぎやかな過疎」を創出、構築していく展望を発表されました。「翻訳者」の持つ大切な役割は、「相手の心に訴える何かを持ち、周りの人を巻き込む」という点であると強調し、熱意、知識、技術、経験、先見性、情報感度、行動力、発想力、表現力などなど、地域の中でなかなか明確な形で表現しにくい「言葉にならない声」や「思い」を言語化し、わかりやすく的確に伝えることのできるスキルが習得、獲得できるのか。このグループの発表からは、その人材育成が地域創生イノベータープログラムの大きな使命であることを再認識されられました。
最後に「チーム田村・石川」からは「まつりの持続可能な継承に向けて」の発表。地域で世代を越えて継承された伝統的な祭りは「地域のアイデンティティ」でもあり、親から子、孫世代までが一体となり「地域共有の宝」として「共感」をも「共有」することができる「祭り」の重要な機能を指摘し、伝統的価値観による「束縛」を認識、対話しながら、どのように多様性を活かし、合意形成に導くことができるかという視点や、少子高齢化、過疎化の中での担い手の不足の課題に向けた解決策を提示しました。2024年に刊行された愛媛県内の祭りの現状を悉皆調査した『愛媛県の祭り・行事調査報告書』を基に、現在の伝承、継承状況を抽出し、グラフ化、数値化するとともに、宇和島市吉田町の「吉田祭」を事例に、祭りに参加した方々へのアンケートや、吉田町内の小中学生へのアンケートを実施し、認知度などを「見える化」する取り組みも紹介。そしてグループメンバーが伊方町三机地区の秋祭りの担い手から実際に祭りの現状、課題、思いについて聞き取りをしたり、大洲市の獅子舞等を事例に国勢調査等の統計を活用して担い手不足がどう進行しているのか、また統計から導くことのできる解決策を考察されていました。文献調査、統計からの分析、現地フィールドワーク、インタビュー、アンケートなど様々な手法で客観的情報を蓄積した上での発表でした。
修了生は今後、「愛媛大学地域創生イノベーター(南予)」として、地域の様々な課題の解決に向けた活動を進めていくことになります。地域協働センター南予では、来年度もイノベーター育成プログラムを開講するとともに、これまでの修了生の活動のフォロー、サポートに努めていきます。また、南予の高校生についても令和8年度のプログラムでも受講可能となるよう、調整を進めていく予定です。今年度のイノベーター受講生のみなさま、おつかれさまでした。
来年度の「愛媛大学地域創生イノベーター(南予)」は令和8年5~6月募集、7~8月開講、1~2月修了の予定で準備を進めていきます。受講ご希望の方は、この愛媛大学地域協働センター南予のHPを随時ご確認いただくか、または、直接メール等で、お問合せください。
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