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センターの活動

64.シンポジウム「日中比較塩業史研究−その可能性を展望する −」(2013年9月21日)

 昨年、当センター第5回シンポジウム「東アジア塩業考古学の現状と課題」で 日本・瀬戸内と中国・山東の塩業 考古学を紹介しながら、東アジア視野での塩業史を議論いたしました。その後、こうした視点をさらに東日本まで広 め、かつ、中国のもうひとつの塩業考古の中心地 四川の現状を加えながら、議論をさらに進めることとなりました。 そこで、東北学院大学の主催で、塩業シンポジウムを開催いたしました。(クリック)
 中国の重慶市の牛英彬氏が発表をされた「東南郁江流域塩業遺跡の発掘と研究」は、今年7月に中国で成果が公表 されたのち、日本では初めての報告となりました。その淋鹹坑や塩竈の構造などはこれまでには見ないものとして注 目されます。塩井から得た鹹水を精製するまでの過程がきわめて整っていて、産業としての塩業といえるものでした。 白九江氏の報告は、この成果を踏まえ、四川・重慶地域の塩業考古学の現状を丁寧に整理したものでした。これに加え、 王青氏の山東西周南河崖製塩遺跡の報告により、中国における古代塩業の全体的な研究段階が明らかになりました。基調講演の 東北学院大学名誉教授の岩本由輝氏の仙台・相馬地域の塩業史についての発表は、中国の塩業研究と比較するうえで 重要なものでした。とくに、道具をめぐる問題は、中国塩業考古学では未解明のことが多く、大いに参考になりそうです。
 東アジアの塩業は、日本が海水と塩田を利用した製塩を発展させてきたのに対して、もともと濃い鹹水を得やすい中国地域の塩業という個別性が あるものの、基本的な生成過程やその理念は共通することが多くありました。その歴史的な関係が、今後の課題になりそうです。

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