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センターの活動

60.第14回アジア歴史講演会(2013年3月9日)

 熊本大学の小畑弘己先生のご講演題目は、「タネ・ムシが語る新たな歴史像」という考古学では聞き慣れな いものだったかと思います。遺跡から出土する土器の表面には、穀物の種子や昆虫の圧痕が残っています。こ のことに気付いた小畑先生方は、圧痕を利用して穀物や昆虫の種類を同定することで縄文時代に農耕の存在を 証明することができないかと考えました。その後、精力的に縄文土器などから、ドングリやアズキ、ダイズ、 コウゾウムシなどの「生」の資料を採取し、実証性の高い古民族植物学の手法を確立されました。ダイズやア ワなどの縄文農耕論や虫をめぐる人間生活の復元など、これまでの考古学では解明しえなかった先史世界の生 活をお話しいただきました。また、この間の分析方法の開発秘話、コクゾウムシ飼育奇譚などなど、研究活動 の裏話もちりばめられた楽しいご講演でした。
 小畑先生は、2012年度の浜田青陵賞そして九州考古学会賞を受賞されたばかりです。それにもかかわら ず、講演の最後では「圧痕家屋害虫学」という新たな学問境地の開拓について意欲的に紹介されていました。 会場からの質問カードの提出が、びっくりするほど多くありました。その理由が、小畑先生が楽しそうに話し をされていたからだと、後でご来場いただいた方々との会話で知りました。楽しんでやることの大切さも学ぶ ことができました。

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講演の様子 センター長とのデスカッション

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圧痕コクゾウムシなどのレプリカ展示 展示レプリカを前に聴講者の方と

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