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センターの活動

14. 連合王国ロンドンWorld of Iron Conference2009で研究報告
2009年2月19日

 先史時代の鉄生産・鉄器生産を研究するヨーロッパの研究者が中心となり、TATA STEELなどの大手鉄鋼会社が援助して、World of Iron Conference 2009 がロンドンの自然史博物館で開催されました。対象とする時代を先史から現代とし、地域はアジア、アフリカを中心とする会議であり、村上はセンターの四川省における製鉄遺跡調査成果と中国における製鉄研究の問題点について報告しました。

 中国の製鉄研究者として著名で、村上自身e-mailで交流があるD.Wagnerをはじめ、世界の著名な鉄研究者が集まり、また新進気鋭の研究者が集い、活発な議論が行われました。発掘成果をもとにした研究、金属学的分析結果を中心とした技術研究、製鉄・鍛冶の復元実験成果報告、生産活動と環境問題、アフリカを中心とした民族誌的研究、鉄と祭祀・宗教論など内容は多岐にわたり、それらが半日ごとのセッションにまとめられ、2月15日に開会し、21日に幕を閉じました。

 アジアの研究には注目が集まりました。信じられない製鉄炉の規模、とか、銑鉄塊の形と大きさがわかった、など発表後、いろいろな反応がありました。中国、韓国、日本の研究者はセッション後も共通語である英語でディスカッションし、今後の研究交流を約束しました。センターの研究協力者でもある陳建立先生にもお会いし、また最近関心をもっている江西省の漢代製鉄遺跡についても詳細報告があり、製鉄炉の調査研究で協力することを約束しました。

 2月19日には、プログラム終了後、自然史博物館の展示フロアーでパーティーが開かれました。鉄鉱石を含む鉱石類が展示され、金属の歴史を物語るフロアーはつい1時間前まで一般の観覧客でにぎわっていた部屋です。デリバリーのカウンターからワインと食べ物をもらい、経験したことのない雰囲気のなかで意見交換ができました。わが国のたたら製鉄には関心が高く、グラスを交わしながら、アジアの神秘、たたら製鉄に関する意見の交換を行いました。実際、ヨーロッパの多くの研究者から、次回、たたら製鉄でレクチャーすることを依頼されました。

 今回参加した日本人はロンドン大学で金属考古学を研究している増渕麻里耶さんと私の二人。増渕さんはトルコ・アナトリア高原で大村幸弘先生の指導下、カマンカレホュックの調査に参加し、その出土品の分析からヒッタイトの鉄研究をすすめている気鋭の研究者です。今回はヨーロッパの研究動向についてもたくさんのレクチャーを受けました。増渕さん、どうもありがとうございました(村上)。

会場 セッション
1.研究会会場の様子 2.ポスターセッションと意見交換

パーティー 自然史博物館
3.2月19日夜のパーティー(自然史博物館で) 4.会場の自然史博物館

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