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センターの活動

13. 鳥取県妻木晩田遺跡調査事務所主催 弥生講座「鉄器作り」で技術指導
2009年2月1日

  国史跡妻木晩田遺跡の遺跡調査や整備・活用を担当する同調査事務所は、妻木晩田遺跡で発見された遺構や遺物を題材にさまざまな体験授業を一般市民に提供しています。

 この遺跡では弥生時代の鍛冶工房が発見されていますが、弥生時代におこなわれた「鉄器作り」体験が弥生講座の一環として開催されました。

 これは歴代の調査事務所職員が構想、準備に時間をかけてきた企画で、村上もそれにかかわってきました。弥生時代の鍛冶では鎚や金床に石を使った例がありますが、こういった道具では素人はまず作業はできません。そこで道具のほとんどは鉄製のものを使用し、送風機である鞴(ふいご)だけ、原始的なものを準備しました。鞴は村上が鍛冶実験や鋳銅実験に使用してきた皮袋タイプをモデルに、同事務所が鹿皮製の鞴を準備しました。

 弥生時代の鍛冶遺跡について村上が簡単な話をしたのち、21名が鍛冶にチャレンジ。なかには親子で風を送り、鎚を振るうという姿もありました。素材は五寸釘で、それでペーパーナイフを作ってもらいました。

 鹿皮袋の送風機は思った以上に性能がよく、炉の周辺部でも900℃まで上昇しており、瞬く間に素材は真っ赤に。思い通りにナイフの形にならずにもどかしさを感じる人も多かったようですが、それでも何度か挑戦するうちにナイフの形ができていました。グラインダーと砥石で整形し、刃をつけて、柄の部分には紐を巻いて、ビニールのカラーテープを巻いてできあがり。紙の鞘に入れて立派なペーパーナイフが完成しました。

 皮袋を使った鍛冶体験を提供する試みはこの妻木晩田遺跡がはじめてではないでしょうか。参加者にはかなり好評であったということでした。

 「1時間前の鉄器生産の遺跡を見に行きましょう。」実験後、参加者全員で鍛冶炉の様子を観察しました。炉は送風管の先端付近を中心に同心円状に焼け、とくに中心部は硬化していました。これは弥生時代の鍛冶遺構でしばしばみられる特徴です。実験後はむしろ調査事務所のみなさんとの勉強会となりました。これについては*妻木晩田遺跡調査事務所のホームページ*をご覧ください。

 道具のすべてを弥生時代と同じく仕立てることはできませんでしたが、汗をかいて風を送り、炎をコントロールしながら、鉄を変形させていく原始的な鍛冶体験に多くの皆さんが感動し、また鉄器作りの難しさと鉄器のありがたさを理解してもらえたのではないかと思います(村上)。 

鞴の操作 鍛冶
1.皮袋の鞴(ふいご)で風を送る。
予想を上回る強い風。
(画像提供/妻木晩田遺跡調査事務所)
2.どんどんナイフの形になっていく。
(画像提供/妻木晩田遺跡調査事務所)

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