第8回地域創生イノベーター育成プログラム(南予)開催

2022.02.25 教育活動

地域創生イノベーター育成プログラム(南予)の第8回が令和4年2月19日(土)に開催されました。最終回の今回は、これまで各グループで進めてきたプロジェクトの成果発表会になります。

 「中山間地域の生業興しと新しいライフスタイル」を内子町小田地区の現地調査をもとに紹介いただきました。従来の「田舎には職がなく、起業も難しい」という見方から移住者の「競合減少で起業成功の可能性が向上」という見方へのマインドセットの変化がイノベーションの第一歩であるとの重要な指摘がありました。それを踏まえて、新しいビジネスモデルを地域ビジネス拡大モデル、過疎地×起業のニッチモデル、複業モデルに取りまとめて、それぞれの発展ステップごとに説明して様々な組み合わせにより豊かさを得ていることを明らかにされました。

「中山間地域の生業興しと新しいライフスタイル」チーム

「地域情報化の現状と課題」について、人口減少社会においてデジタル化による行政サービスの効率化は必要不可欠であり、税制・働き方などの観点からSociety5.0への移行を実質化していくために地方自治体のスキルアップによる個人・顧客の管理、サーバーの管理や戦略的情報発信に向けてメタバースの活用が提案されました。地域DXは、先進事例から明らかなようにアイディア、実行力と仲間のサポートが重要であり、そのための大学の役割についても言及されました。

「地域情報化の現状と課題」チーム

「原子力発電所立地地域における地域課題」では、伊方町を対象に「誰もが<助かる>社会」をキーワードにまちづくりに織り込む防災・減災を提案されました。住民の防災・減災に対する関心を高めるには防災・減災にこだわるのではなく、住民の関心ある分野に紐づけすることが重要で、その観点から花火大会で夜の避難訓練、地域運動会と高齢者のバスによる移動避難訓練などの地域の特性を踏まえた提案がありました。

「原子力発電所立地地域における地域課題」チーム

「移住・定住促進プロジェクト」では、若い世代の定住に必要なことを若い移住者や地域おこし協力隊の方々へのインタビューを通して明らかにされています。距離感の近い方へのヒアリングということもあり、移住者の方々の本音を聴くことに成功されています。自分・家族の自由な時間と地域とのよい距離感での関係性を保てることが重要で、そのためには、情報発信と移住体験、住まい補助・就業補助を段階に合わせて地域、行政がトータルでサポートすることの大切さを提案されました。

「移住・定住促進プロジェクト」チーム

「体験型観光」について和紙すき、小田深山でのキャンプ体験など「内子秘境ツアー」、のむらのむむら酔いどれ体験を中心とした「西予市の体験型観光」、全国屈指の釣り場を活用した「伊方町での釣り体験」、「空海を驚かせ!四国4県の個性が輝く誰も取り残さない四国を作る」などを具体的に提案いただきました。新型コロナウイルスが終息に向かうこれからにおいて、地域の特徴を活かしていま、ここでしかない体験を売りにした観光プログラムの開発と必要な人に届く情報発信が重要になることを提案されました。

「体験型観光」チーム

「人口減少社会への向き合い方」では、まずはメンバーが住む八幡浜市と鬼北町での地区ごとの減少率の差に着目し、人の密度が下がっているにも関わらず土地の密度が下がっていない点に着目されました。そして、今ある建物や土地を空き地への戻してまちの魅力を高めていく逆開発を空間として進めながら、関係人口との絆を継続して深めていく政策の可能性について提案されました。

「人口減少社会への向き合い方」チーム

すべてのプロジェクト成果報告会が終わった後は、受講生自らが地域創生イノベーター育成プログラム(南予)を振り返って、プログラムの残していくべき点と課題とその対応策についてグループに分かれてワークショップを行いました。新型コロナウイルスの感染拡大によって全面オンラインになりましたが、オンラインのよさを残しつつ対面によるディスカッションとアクションを深めていく方法が来年に向けた課題として明らかになりました。

プログラムの振り返りのWS

その後、地域創生イノベーター育成プログラム(南予)の閉講式を行い、愛媛大学社会連携推進機構の若林良和機構長より、受講生同士、教員が継続して繋がっていくことで今後の活躍の期待を話していただきました。

若林良和機構長からのメッセージ

半年前の9月に始まったこのプログラムもあっという間に終わりをむかえました。全面オンラインという制約がありながら、受講生の高いモチベーションによって、各地域の課題への取り組みを踏まえた受講生からの有意義なプロジェクト成果が得られました。今後とも地域協働センター南予として地域再生のための人材育成に貢献していきたいと考えています。引き続き、よろしくお願いいたします。