================================================= 愛媛大学 防災情報研究センター         防災情報研究センターニュース                    第13号   2007.8.2 ================================================= 今回のコンテンツ <報告>新潟県中越沖地震緊急調査団報告会が開催されました。(第2報) <報告>第5回センター研究会を開催しました。 ○新潟県中越沖地震緊急調査団報告会が開催されました。(第2報)  前回に引き続き7月31日に開催した報告会の概要をお知らせ します。  榊原教授より「中越地域の地質概要と斜面災害」について報告 がありました。報告の概要は次の通りです。  平成19年7月16日午前10時13分に新潟県柏崎沖を震源とする 「新潟県中越沖地震」が発生した.今回の地震の震央は従来から 指摘されている「神戸−新潟ひずみ集中帯」に位置する.  この地震は,北東方向に伸びる逆断層が動いて発生したと考え られている.  この地震によって最も被害の大きかった柏崎市周辺の地盤は, 固結度の低い新第三紀後期〜第四紀の堆積岩(堆積物)類から なり,これら堆積岩類が,北東-南西方向に軸を有する活褶曲に よって折りたたまれ,その軸部で逆断層センスの活断層が発達 している. 中越沖地震による斜面災害は,多くが海蝕崖の急崖を構成する 風化した第三紀〜第四紀層の表層崩壊によって特徴づけられる. また,地震によって発生した明らかな地すべりは2箇所のみで あった.(報告:榊原) ○第5回センター研究会を開催しました。  7月30日に第5回センター研究会を開催しました。 センター (教育学部)の高橋治郎教授が「地域を知る〜地域を知ることが 防災の第1歩〜」について発表しました。概要は以下の通りです。  防災や減災のためには、ハード面とソフト面両方の対応が必要 である。今回の話題提供ではソフト面、とくに地形や地質、災害 履歴から「地域を知る」ことが防災・減災対策に欠かせないことを 述べた。  住んでいる場所が、自然災害からみてどういう特性を持っている のかを知っているのと知らないのとでは、防災対策のみならず被 害の受け方や復興への対応が大きく異なるのである。  愛媛県の四国中央市西部に位置する土居町には畑野断層が、 そして新居浜市と西条市には岡村断層が、東温市と松山市には 重信断層が存在する。これらは数千年に一度活動する活断層で ある。これらの断層は地形的に明瞭で、すでに各種防災図に記 載されている。  その一方、十分な調査が行われていない海域や新しい堆積物 に覆われ未発見の活断層も数多く存在するのだと言うことも知っ ておかなければならない。  さらには地震は既存の活断層が動くことによって発生するだけ でなく、我が国のようにプレートのぶつかり合う場所では、新たに 断層が形成されることによって起こる地震もあることを理解してお かなければならない。  我が国には安全な場所はないのである。  上述のような地形や地質からの情報とは別に、古文書や新聞 記事等による災害履歴を知っておく必要がある。  さいわい、愛媛県には道後温泉の古くからの記録があり、また、 安政の東南海・南海地震については「三輪田米山日記」や八幡 浜の旅籠の日誌等が、昭和の南海地震については「愛媛新聞」 の記事が愛媛県の被害状況を書き記している。  これらの記録から学ぶものが多くある。  一方、災害の記録は残っていないが、地名からその場所の特 性が推定できるものがある。例えば、双海町上灘の「柆野」は、 「くえ」が転じた「くい」、久万高原町と広田村を境する「サレガ峠」 や中山町の「佐礼谷」の「され」、高縄半島の「白潰」や伊予市と 中山町の峠である「杖立峠」の「つえ」、これらは「崩れやすい場 所」であることを意味している。  また、松山市の「水泥町」は土砂災害由来の地名であることが 地形図からも読み取れ、この東側には「梅本」(=「埋元」)という 地名がある。 (報告:高橋) 「防災情報研究センターニュース」に関するご意見、ご要望、投稿、 メール配信の停止などがありましたら、以下メールアドレスまで ご連絡ください。 ■連絡先■  愛媛大学 防災情報研究センター メルマガ事務局           メールアドレス:dm-info@dmi.ehime-u.ac.jp